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ソニーの「開発18か条」

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術 を読んでいたら、「ソニーの開発18か条」というのが紹介されていた。家電などの工業製品の開発を念頭に書かれたものだが、「製品」だけでなく、あらゆる商品企画やマーケティングに通ずるものがある。

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守れないから教訓になる

こういった教訓や理念というものの常だが、「それを守るのは難しい」。だから、あえて文字にして掲揚するのだ。

つまり、意味を逆にすれば、会社や現場の「あるある」になる、とも言える。

例えば、1条。

1条:客の欲しがっているものではなく、客のためになるものをつくれ

客のうわべのニーズを追っても、ヒット商品はできない。客が自分でも気づかなかったような「これがないと困る」というような商品を作らないといけない。

私の例で言うと、たった1件のお客さまからのご意見をもとに、鬼の首とったように「こういう商品を作れ。お客様からの要望だ」というバカがいる。お客さまの意見はもちろん重要だが、それを真に受けて、自分や会社のフィルターを通さずに作るのは愚か者だ。

恋愛に例えれば、女性に「何が欲しい?」と聞いてバッグやら宝石やらを貢いでる男に似ている。貢いだ挙句に、女性の心を掴めるか? 掴めるわけがない。本当に女性が求めているものは、そういうものではないからだ。

一番沁みたのは、5条。

5条:できない理由はできることの証拠だ。できない理由を解決すればよい

「できない」と言うのは簡単だ。もしかするとそれは「できない」のではなく「難しい」のかもしれない。だが、「難しい」であれば「可能」のうちだと、<18か条>の著者は言っている。「できない理由」がわかっている時点で、実はその問題は、半分以上解決しているのかもしれない。

なぜできないのか?難しいのか?を順を追ってたどっていき、分解していけば、あとはそれを1つずつ潰していけばいい。そう思えるようになった。

あるいは、「その問題設定」自体を疑問視して、もっと高次の視点から問題設定をし直すこともできる。

例えば「独自技術がない」という課題があったとする。この課題を分解すれば、「技術者がいない」「資本力がない」「ライバルの技術力が圧倒的」などの分解ができるだろう。

そうすればさらにその分解した課題を突き詰めていけばいい。

あるいは逆に「なぜ独自技術がない」ことが課題になるのか?と考える。「独自技術がないから市場で競争力がない」「競争力がないから売上が伸びない」と。

ここまで考えると必ずしも「独自技術」そのものが問題なのではなく、「競争力」や「売上」が問題なのだとわかる。人も会社も往々にしてあることだが、不可能なことも理由にして「〇〇ができない」と言い訳して、できることをしない、というのがある。そういう場合は、単に目標を本気で達成する気がなく、サボりたいだけ、努力したくないだけのときだ。

以前は沁みなかった18か条

この<18か条>は、本当に心にしみた。以前、この本を読んだときにはそこまで印象に残らなかったが、最近の仕事で、この18か条に沿わない仕事が舞い込んできたせいで、それが現実とリンクして、沁みるようになった。

11条:ものが売れないのは、高いか悪いかのどちらかだ  

これも至言。当たり前といえば当たり前なのだが、現場だと気がつかないことも多い。それとこの11条は、マイケル・ポーターの有名な「3つの基本戦略」にも合致する。つまり「高い=価格=コストリーダーシップ」か「悪い=価値=差別化戦略」。結局、商品戦略はこの2つに収斂される、ということだろう。 

今回触れていないが、「超・箇条書き」自体もたいへん良い本だ。また機会があれば紹介したい。

 

ソニーの法則 (小学館文庫)

ソニーの法則 (小学館文庫)

 

 

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術